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あれっ?
待って、先生ってさ、確かに閉じ込められてたけど、歌おうと思えば歌えたんじゃないの?
やっぱり特殊な鉄柵の中だから魔法はダメだったのかな?
……まあ、いいや……
☆
「お疲れ様でしたね、センシ君。無理を言ってすみませんでした。俳優のオファーが来そうな素晴らしい演技でしたよ」
ノピア先生はセンシの特殊合金の肩を優しく叩いた。
『オ安イ御用ダ、先生。アイツラハ強クナルヨ。私モ楽シミサ』
「そりゃあもちろん、このノピアのお墨付きですからねっ!」
『叶ウナラ、私モ人トシテ、アイツラト共ニ……』
そこで言葉を止めたセンシ。
静かな機械音が特別訓練室に響く。
「彼らに心を震わされましたね?
ふふ、実は私もです。君のが移ったのかもしれませんね」
『マッタク、トボケタ先生ダ』
「……あの時、カーボルに力を貸したのは、精霊達だけではなかった。
リュート達三人と私と、そして悪役をしてくれた君の心も。君は彼に破壊されても良いと、自分を壊してみろと思っていた。そうでしょう?
君の想いも、共に鳴り響く力になったのです。そうでなければあの鉄柵はカーボルには砕けません。
……ねえセンシ君。
心の震える音が共鳴して、大きな響きとなるのなら。
共に鳴り響く心が、友に成る、という事ではないでしょうか?
君もまた彼等の、そして私の大切な友ですよ」
……ブオーン……
その言葉にセンシは答えなかった。
ただ、少し照れた様な機械音が、彼の体を震わせていた。
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