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早く自分で戦ってみたいリュートは面倒な事はもういいよと身を乗り出して見ている。
ゴンボは意外と冷静にセンシサイザーの動きを見守り、クラリネは先生の歌声に感動でうるうるしている。
「まあ、そうしゃっちょこばらないでください。今日の所はみなさんに見ていただくための、言わば軽ーい……」
余裕の笑顔の先生だが。
──我ハ歌ウ 命 尽キルマデ
我ハ誓ウ コノ身 朽チルマデ
戦イノ声ハ 龍トナッテ
魂ヲ乗セテ 空ヲ翔ケル──
センシサイザーの詠唱を聴いた途端、表情は一変する。
「ぶほっ、全霊龍撃!?なぜ奥義を!?」
その一瞬をクラリネは見逃さない。
「げっ、げんめつ」
炎龍、氷龍、雷龍……先生目掛けて襲い掛かる、龍の形をした七つの魔法攻撃!
──この胸に流れる
僕だけのメロディー
輝きの旋律
全てを包み込むよ──
しかし、先ほどより一段と美しい歌声による詠唱と同時に現れた目も眩む様な光の壁が先生を包み、全ての龍を消滅させた!
あまりの威力にセンシサイザー本体も吹き飛ばされまいと両足を踏ん張り、両手で体をガードしている。
「全音階防御光壁。
おっと失礼、咄嗟に手加減出来ませんでしたが、私の得意魔法は光属性。センシの設定レベルも低いし、まあこんなもんですかね」
えっへん、と咳払いをして生徒たちを振り返る先生。
「さすが先生!五線の騎士の候補だったんですものね!やっぱり素敵!」
「いやいや昔の話ですよ。
ん?カーボルはまたどこへ?」
「……後ろでひっくり返って震えてます」
先生はやれやれ、とまた天を仰いだのであった。
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