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☆
「よいですかみなさん。
魔法には属性があり相性がある、なんてリュートでも知っている様な事は一旦忘れて構いません!
炎を消す水があれば、水を蒸発させる炎もある。闇を打ち消す光があれば、光を飲み込む闇もあるのです。
まずは自分に合った属性魔法をとことん伸ばしましょう!せっかくだしオリ技なんて作ってしまうのもオススメですよっ」
ちょっと小馬鹿にされているのも気にならない程、リュートは楽しんで特別訓練室に通った。
何しろ相手は無敵のセンシ。思う存分、手加減無しで魔法が撃てるし、逆に攻撃もされるのだから、その対処法も考えなくてはならない。
やや短気でハイトーンボイスの彼は炎属性の魔法を得意としていたが、雷の精霊とも相性が良い事にすぐに気付いた。
また、珍しい技ではないがセンシが見せた魔法の龍が気に入り、自分の物にしようとしている様だ。
ゴンボの重低音ボイスは大地の精霊と相性が良く、優しい性格は更に相性が良い緑の精霊を味方に付けた。
怪力に加え、その巨体からは想像出来ない程の俊敏さを持つ彼の運動能力は、魔法を使えない場合の戦闘にも優れていた。
クラリネは、そんな二人のレッスンを真剣に見守り、思う事があればノートやパソコンに記録、見て学ぶ事から始め、時々は驚く程勇敢にセンシに立ち向かった。
良く通る澄んだ声は水の精霊と相性が良く、またノピア先生に憧れる彼女は、上級属性である光の精霊とも仲良くなれそうだ。
めきめきと実力を付けて行く三人。しかし。
「カーボル、大丈夫?」
「う、うん、大丈夫」
カーボルだけは毎日、それを震えながら見ているだけだった。
「先生が選んだ奴だから黙ってたけどさ。
やっぱり人選ミスだぜ、あんな腰抜け」
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