マリオスの手紙が届いたら

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 はらはらと雪の降る日。  ポストを開けると手紙が届いていた。 『山本(やまもと)あさひちゃんへ。  最近全然会いに来てくれないあさひちゃんにどうしても会いたくて会いたくて、会える日を楽しみにしています。  二月十四日のバレンタインデーに、あさひちゃんと手を繋ぎたい。  どうかどうか待っててね。  マリオス・ローズフォールより』  自宅の郵便受けの前で身震いするような手紙を開き、私は彼の顔を思い出す。  白人で目が青くて、誕生日を重ねてもそのえくぼが印象的の幼い顔つきの彼。  今日はバレンタインデー。  高校からの帰り道に今日もショーウィンドウ越しにたくさんの美味しそうなチョコレート見てうっとり……じゃなくて、散々学校で作ってきてもう見たくないやと帰ってきたところ。  今日も授業は忙しかった。  やめようかな、パティシエになるの。  授業で練習するたびに大好きなチョコレートが嫌いになるんだもん。  でもな、私は好きな人にチョコレートを通して思いを伝えるこの日が好きでパティシエになりたいと思ったんだ。  今日は私が一年で一番大好きな  「ハッピーバレンタインデー」。  そう気持ちを切り替えて、それで疲れた気持ちの中でやっと家についた。  なのにほっとできずに、こんなものがポストに入っていて。  マリオスの手紙を見て思う。  全然、絶対、マリオスなんかに会いたくない。ふざけんな。  バレンタインデーって今日じゃねーか。
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