マリオスの手紙が届いたら

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 マリオスは私が小学生に上がるタイミングで私の隣の家に引っ越してきやがった外人。第一印象はそれは整った顔だったから悪くはなかったのだけれど、マリオスが引っ越してきて間もない頃に、彼がランドセルについていたMのキーホルダーを落としたから、それをすぐに拾って届けたら、マリオスは言ったのだ。 『僕は将来、あさひちゃんと結婚する』  その発言はすぐ忘れることだと気に止めてなかった小学一年の私だったが、マリオスはとにかくしつこくて、私は隙をついて他の友達と遊ばなきゃいけなくなり、毎日毎日仕方なく仕方なくマリオスに構ってあげなくちゃならない状況が続いたのだ。  それを九年我慢したら、マリオスは今年の春に家庭の事情かなんかでアメリカに帰った。  マリオスの家は私の家の隣に残ったままだが、高校生になって、私はやっと自由になれた。  私は高校生になってから、中学のことなんてマリオスを含め一切忘れて、友達とごはんを食べたり、美術部に打ち込んだり充実している。  でも安心は十一ヶ月しかなかったということかと、マリオスの手紙を見て私は震える。  なんなの、いきなりアメリカから飛んでくる気?  大変だ、マリオスが帰ってきちゃうよ……。  彼は会いたいかもしれないけれど、こっちはもう全然会いたくないよ。  私は気持ちを固めて、家から十分離れた赤い屋根の一軒家を目指す。  マリオス+中学=としたら彼しかいない。  とにかくとにかく、(ひいらぎ)くんに相談しよう。  マリオスのことで困ったら、柊くんが必ず私を助けてくれる。
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