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柊くんのいたその部屋に入ると高級家具たちが綺麗にコーディネートされてあった。
さすがお金持ちの部屋なんて私は周りをキョロキョロするが、マリオスは興味がないのか平然としている。
マリオスだってこの家に来るの初めてだよね……たぶん。
みんなでソファーに腰をかける。
いつの間にか隣に座っていたマリオスが微笑む。
「久しぶりだね、あさひちゃん」
「……ねえ柊くん、マリオスなんとかして」
いつの間にか距離をとって向かい側に座る柊くんはため息をつく。
「俺、別に二人で会いにきてほしかったわけじゃないから適当に帰ってね」
またため息をつき、柊くんは遠い目をした。マリオスはなぜか顔をパッと明るくして私を見た。
「あさひちゃんは今柊くんの家にいるはずという僕の直感はただしかった」
マリオスが私に微笑み、私が『そう』と話を流すと、マリオスは口を尖らせた。
「あさひちゃんは僕に会えて嬉しくないの?」
「うん、全然」
あっさりとした結構冷たい言い方をしたが、マリオスの表情は変わらない。
「僕はあさひちゃんに会いたい理由があってきたのに」
「え、会いたい理由?」
「……指輪を渡してあさひちゃんと結婚したいと。ほう」
いち早く柊くんはマリオスの心を読み、マリオスは柊くんをじっと見つめた。
柊くんは話を続ける。
「……明日はちょうど可燃ごみの日だってあさひちゃんは言ってるよ」
だまりこむ私の心を柊くんが読み、まさか私に渡したい指輪が私に渡したとたんに可燃ごみ行きとは夢にも思わないせいか、マリオスは首を捻る。
「柊くん、それはその通りだ」
私が柊くんを指差すと、柊くんはこくりと頷く。
「いらないなら、可燃ごみにお忘れなく」
柊くんは言葉を吐き捨てると無言のまま、ゲームの電源をいれた。
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