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「実がなって、じゃがバターにするまでっ」
「……俺はじゃがいもは味噌汁に入れたのが好きだな」
「じゃあ、味噌汁にしましょうっ」
いや、どっちでもいい、と思いながらも、二人は真剣に、まだ芽も出ていないジャガイモの使い道について語り合っていた。
「そういえば、コロッケも食べたいです」
「肉じゃがもいいな」
「こんなにいろいろ食べたいものがあるのなら、かなり植えないとですねっ」
「そうだな。
……じゃあ、毎年植えるか」
と由人が言った。
「あっ、そっ、そうですねっ。
えーと、じゃあ、ワインでも開けましょうか、とりあえずっ」
佑茉は動転しながら、テーブルにワインを置こうとして、ボトルを倒してしまう。
ああっ、ワインまで動揺しているっ、と手を伸ばしたとき、由人がそのボトルをつかんだ。
「ありがとうございま……」
と振り向きかけたとき、由人の唇が微かに頬に触れてきた。
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