鬼兄弟物語

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お初にお目にかかります。 この村に長く住んでおります、初芽(はつめ)と申します。 (よわい)八十二の老婆にございます。 さて。 今から私がお話するのは、嘗て鬼と人間が共存していた頃のお話でございます。 昔々、人々は国から与えられた土地で米を作り畑を耕し、家畜を飼って生計を立てておりました。その者達は、毎年決められた米を年貢として納めます。 また、国の中にはたくさんの村があり、村の中心地には衣服を売るような商いや、大工のようなモノ作りをして生計を立てている者もおります。そういった者達はお金や物品を年貢として納めておりました。 その年貢の管理を任されているのが、国から村に派遣された領主様でございます。領主様は人を雇い、米の採れ高や店の売上げなどを細かく調べさせ、国から決められた割合の年貢を取り立てる仕事をしておりました。その他にも一部の民を集めて寄り合いを開き、いかに住みよい村を作っていくか、治水から道の整備まで仕事は多岐にわたったと聞いております。
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