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ニャァ
そうだ、猫の力を借りよう!
兄鬼は小さくなると渾身の力で跳躍し、猫の背中に飛び乗ります。
―ギィ
「誰かいるのか!」
扉が開いた瞬間、兄鬼は猫のおしりをペチンと叩きました。
ニャァ!!
驚いた猫は飛び上がり、蔵の中を走り回ります。
「うわぁ!違う!そっちじゃねぇ!」
猫の短い毛に必死にしがみつきながら、ついつい声を出してしまいます。
「む?!猫か!いや、でも人の声もするぞ。やはり誰か潜んでおるな?!」
人じゃなくて鬼だ。兄鬼は内心そう思いながらも、今は自分の力では何ともできません。猫が出口に向うよう祈るしかないのです。
その時ふと、村を出る前に弟鬼に持たされた饅頭の存在を思い出しました。饅頭で、猫を誘導できないかと閃いたのでございます。
蔵の扉の近くを通るタイミングを狙って狙って……懐から饅頭を取り出すと、扉の外目掛けて思い切り投げました。
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