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こうして不正を行っていた隣村の領主は摘発され、罪人として中央に送らることになりました。後日、中央から新しい領主が派遣されたとの事にございます。
鬼兄弟が住む村にも、平和が戻ってまいりました。
実は彼らの活躍を聞きつけた中央の役人から隠密に二人を雇いたいと話があり、領主様は驚きました。
「お前達、何かしたのか?」
「何もしてない」
「じゃぁこの中央からの話は……」
「知らねぇ」
ぶっきらぼうに話す兄鬼を見て、領主様は何かをお察しになったようです。困ったように笑い、中央にお断りする旨の手紙を書かれました。
彼らは、鬼と人間から迫害され両親を殺されて行く宛もなく彷徨っていた時に、生きる希望と場所を与えてくれた領主様の元を離れるつもりは無かったのです。
今でも彼らの子孫が何処かにいるとかいないとか、そんな噂が実しやかに囁かれているのでございます。
おわり
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