鬼兄弟物語

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さて一方。 残された弟鬼は、逃げてきた民の為の家造りに奮闘しておりました。 「ウガァァ!」 何本もの丸太を続けざまに切り、抱え、空き地に運びます。それを大工が細かく切って加工し、家を建てていくのです。姿こそ恐ろしいものの、人々は力持ちな弟鬼に感謝しました。そして弟鬼の好物が饅頭だと知ると、皆こぞって差し入れをしたのでございます。 「美味い!美味い!」 弟鬼はニコニコしながら饅頭を食べ、そしてよく働きました。弟鬼と大工が協力し、あっという間に家が出来上がっていきます。 それは人々が伝え知る鬼の姿にとはかけ離れたものだったといいます。
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