さようなら

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 「俺、もうすぐ死ぬんだ。」  曇った顔の理由を探すため等倍速で音声を確認すると、彼がそう言った。  そのシーンを見た時、まるでフラッシュバックのようにあの頃の記憶が思い出された。  そうだ。彼は病死だった。  私が恋した最初で最後の人は、私から告白をしたその日、本当のことを打ち明けてくれた。  「黙っててごめん。もっと早く言うべきだった。でも...言えなかった。」  少しの間の後、彼は続けた。  「貴方とは会い続けるべきじゃないって、最初からわかってたんだ。だって貴方を傷つけてしまうから。でも貴方といると楽しくて、ここまできてしまった。本当にごめん。」  当時の私の心拍数が跳ね上がる。  この時の私は酷く泣いていた。  どんなものを抱えているかなど、見た目では判断つかないことを思い知らされた時間だった。  きっと無理をしていたんだろう彼のことを何も気づけなかった自分が悔しかった。  ただの機械の研究者である私には彼を助けることが出来ない。その無力さに打ちひしがれていた。
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