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「会うのは今日で最後にしよう。」
泣きじゃくる私に彼は言った。
「貴方には元気な俺を覚えていて欲しいから。」
彼は微笑んだ。まるで病気を思わせない、太陽に包まれた暖かい顔だった。
「最後にどこか行こうよ。貴方の好きな場所に。」
彼は言った。無理矢理押さえ込んだ涙を拭って、私は答えた。
あの珈琲店がいい。貴方に出会ったあの店。
私が言うと、彼は少し照れ笑いを浮かべた。無理もない。彼の職場なのだから。
でも彼はうんと頷いて、早速行こうと立ち上がった。私も彼の後についていった。
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