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真竜湖。都心から離れた静かな山奥の広い湖。その湖畔の一軒宿に私は滞在している。
それは『ミステリー検証』の読者が一枚の写真を投稿したことから始まった。その写真には、この湖の表面に竜らしきものを思わせるくねくねとした影が写っていた。
「もう、同じ食事の繰り返しになりますけど、それでもいいですか?」
「1日3食、カップ麺でもいいんです」
「僕は10年ここにいます。けど僕はそんなものなんか見たことが無い」
「でもあの写真には確かに何かが写っています」
「僕もお客さんから見せてもらいましたけど。あれはね、風で大きくうねった波の影ですよ。たまたま竜のように見えるだけです」
「私、会社に連絡します。あと一週間、猶予をくださいって」
「一週間って・・・。ゴールデンウイークに入っちゃうでしょ。さすがにうちも書き入れ時なんですけど」
「どうしても私には帰って欲しいみたいですね」
「参りましたね・・・」
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