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3. はじめまして異世界
「で、おじい様? ここ何処かしら? 私、フランス行きの国際線のシートでぐっすり寝てたはずなんだけど、何で飛行機に乗ってないのかしらね? ひょっとして誘拐かしら? あなた達テロリスト?」
ウフフと笑いながら望が白ずくめの老人に向って首を傾げる――但し目は笑ってないが・・・
「いえいえ、滅相もないテロリストなどという物騒な者ではございませんよ。お2人は一緒に次元転移をして、このトランジア王国においでになったのです」
望の棘のある言葉にニッコリと微笑みながら白い衣装の老人が流暢な日本語で答えたのに、後ろの涼子が反応して望の背中からヒョイっと顔を出して驚いた顔をした。
「え? 次元転移って、ひょっとしてココって異世界なの?! 凄いッ! ラノベみたい」
「え、なにソレ。テレビのドッキリ? それとも高尚なイヤガラセ? ヤダわ~」
勿論望は眉根を寄せて不機嫌になった。
×××
「つまり、涼子ちゃんと私はペア?」
「ぶっちゃけそういうことですな」
おじいちゃんが神妙な雰囲気を醸し出しながら頷いた。
顔は髭か髪の毛かわからないモフモフで隠れているので表情はよくわからないが。
「わ~・・・こんな美人なお姉さんとペアなんだ? 私じゃ足りなくない?」
望の横にくっつくように座って、よくわからないセリフを吐く涼子。
「リョーコ殿、足りないとは?」
「あ。ほら、美貌とか、これとか?」
何故か涼子が己の胸の前の空間で手をワキワキさせる。
「・・・」
絶妙に押し黙るおじいちゃんこと、神官長。
「涼子ちゃん、多分バストのサイズは関係ないと思うわよ」
「ですかね? 私、発展途上なので」
愛くるしいパッチリした二重に形の良い鼻梁。
鼻筋は高めで先程の部屋で見た時は純日本人だと思えたが、よく見れば少しばかり全体的に西洋人寄りの顔である。
暗めの栗色の髪はショートカットでも天使の輪がキラキラしていて、健康的な小麦色の肌はテニス部だから日に焼けているのだと言っていた。
涼子の父親はフランス人で母親が日本人。2人共が日本のフランス大使館に勤めていて、春休みを利用してフランスの祖父母元に行く途中だったらしい。
お人形さんのように可愛い顔だが背が高く、確かに身体はスレンダーで肉付きは本人の申請の通り発展途上のようだ。
因みに望は涼子より10センチ以上は背が低く、2人で同時に立ち上がったときに驚いた。
「お姉さん、ちっちゃ!?」
「涼子ちゃんおっきい!?」
因みに望の履いている赤いハイヒールは13センチヒールである・・・
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