4. 聖女と魔女と

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4. 聖女と魔女と

 「つまり、聖女と魔女の2人が揃ってないとこの世界の災厄を押さえることができない? ってことよね? で、丁度良さそうな人材が揃って同じ飛行機に乗ってたから私と涼子ちゃんが拉致された・・・と?」  望の言葉でブンブンと勢いよく首を横に振る神官長――名前はダリル、軽く100歳超えのおじいちゃんのベテランらしい。 「拉致ではございません! ノゾミ殿とリョーコ殿を乗せた飛行機は事故で墜落したのです」 「え!?」 「あ。そういえば添乗員さんが凄く慌ててシートベルトを外さないでくださいって、乗客に指示してた」  ムムムと首を傾げて考える涼子。 「その直後に目眩がしてあの石牢みたいな場所にいたんだよね」 「私、一度寝たら、寝こけちゃうから知らないわ・・・そんなことがあったんだ?」 「出発して直ぐだったよ?」 「実は子供の頃から三半規管が弱くてさ、乗り物に乗ったら1分しないうちにすぐ寝ちゃうのよ~多分そのせいで知らないのよね」  肩を竦める望。  呆れ顔の涼子。  と、顔は見えないが多分呆れているダリル。 「・・・お姉さん寝付きいいんだ」 「うん」 「「・・・」」  涼子とダリルが押し黙った。 ×××  「つまり、その場で人生が終了のお知らせの人しか転移できないってことですかね?」 「そういう事ですじゃ。儂らも犯罪に加担したい訳ではありませんからのう」  白いヒゲを手で弄るダリルが頷いた。 「大昔の聖女召喚では拉致まがいの事があったと記録には残っておりますが、この人権尊重がモットーの御時世にそんなことをする輩はおりません」 「へー」 「ふーん」 「ソレと2人ペアで召喚するのには、意味がございましてな聖女という存在は小さな厄介事を処理するのは向きませんのじゃ」 「ふんふん・・・?」 「?」 「ですので、同等の魔力を持つ魔女を同時に召喚するのです」 「「同等・・・」」 「言うなれば光と闇ですな」 「「光と闇・・・」」 「魔女が力でねじ伏せて抑え、聖女がその災厄の浄化をするという仕組みです」 「「・・・」」  望と涼子がお互いの顔を見た。 「どっちがどっちなんですか?」  と、涼子。 「魔力判定で決まりますなぁ。召喚術は召喚対象者の能力値がその場に居る最大値の者を召喚するんですが、どっちがどっちという判定は我々には出来ません」  望が首を傾げてから、なんとなくといった体で言った。 「あ。多分魔女って私の方だわ」 「え、何で?」  涼子がびっくりして、望の白く綺麗な横顔を見た。 「ホラ」  望が差し出した手の平の上で、青白い炎の玉が浮かんでいた。 「昔、魔女になりたいって夢があったから、かな」  彼女はヘラっと笑った。
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