5. 王子達

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5. 王子達

 「なぁ、アレってどっちがどうなんだ?」  金髪碧眼の第2王子フィンレーが魔術師でもある第3王子ノアールの言葉で振り返る。 「アレって・・・異世界人の女性達の事かいノア?」  そう言いながら、応接室に向かう神官長の後ろに着いていく2人の女性の後ろ姿に視線を向けた。 「召喚の儀が成功したのは良いが、今回の天変地異はただの魔物絡みじゃないだろ?」  そう言いながら、魔術師の格好をした第3王子は顔を顰めた。 「ああ。だけどこちらの世界の者達では今回の災厄は上手く防げないだろう?」 「ああ。まあ悔しいがな」  ノアールが黒いローブのフードを自分の頭に被せてため息を付いた。 「俺達魔術士じゃ、元々の魔力量が違いすぎるからな。聖女も魔女もどういうわけかこの世界の住人の魔力量では太刀打ちできないくらい多い。そのせいで扱える魔法が根本的に違うからな・・・」 「本来は死ぬ運命だったからなのか、異世界転移の際にその能力が開花するのかはわからないけどね・・・てか、お前何でそんなにずっと不機嫌な顔なの?」 「・・・お言葉を返すようですが殿下。私は何時もこの顔です」 「「イヤイヤイヤイヤ、機嫌悪いでしょ(だろ)ルーカス?」」  ルーカスと呼ばれた黒髪の騎士は鼻にシワを寄せた。 「いい加減無表情なのに、更に仏頂面に磨きがかかってるよ? わかってる?」  と言ったは第2王子フィンレー。 「しかも今にもブチ切れそうなオーラが漂ってて尋常じゃねーよ・・・ひょっとして無自覚か?」  ルーカスの周りの空間を嫌そうに眺めて、そう言ったのが第3王子ノアール。 「魔法剣士が暴走とか洒落にならんからやめてくれよ? 城1個で済めばお釣りが来るくらいだからな・・・お前ひょっとしてあの2人のどっちかが知り合いか? って、怒気を強くするなよっ! やつが出てくるだろ!」 「・・・」  それには答えないルーカスに、肩を竦める第2王子。 「とにかく気持ちを落ち着けてくれる? 無駄に神殿の廊下を壊す訳にいかないからさ」 「・・・申し訳ありません」  胸に手を当て頭を下げる男を見ながら、2人の王子は肩をすくめた。 「俺達も、1度客室に戻ろう。そう多くもない魔力を魔法陣に使ってハラが減った」 「そうだね・・・行こうか」 「はい」  王子2人と護衛騎士の3人は、聖女達が消えた曲がり角を反対に曲がって歩いていった。 「へえー、小侯爵閣下がご立腹って何だろ?」  3人が立ち話をしていた場所のすぐ脇の部屋から出てきたのは、小部屋にいたもう1人の茶髪の少年だ。  彼は若干ダボついた白い神官服の袖を捲ってから、顎に手を置いて首を傾げて綺麗な若葉のような瞳を細めた後。 「ま、いっか」  そう言って肩を竦めるとその場所にキラキラと光の粒を残して消えてしまった。
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