7. 残してきた家族

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7. 残してきた家族

 2人の異世界人達の能力が、召喚された数時間後には明らかになった事に大満足の神官長は取り急ぎ王城にいる国王陛下に知らせると言いながら、手の平の上にキラキラした羽の生えた生き物・・・妖精? を召喚して窓から飛ばすことにしたようだ。 「ねえ、私達元の世界に戻れると思う?」 「う~・・・戻ったら、飛行機事故に巻き込まれますよね? もし戻れても死んじゃうんじゃないでしょうか?」 「そうよねぇ・・・諦めてこの世界に再就職するかぁ」 「私、テニスのインターハイ見に行きたかったんだけどなあ」 「出るんじゃなくて?」 「先輩が出るんですよ。私らみたいな下っ端は無理無理・・・お父さん達泣いちゃうんだろうなぁ・・・まいったな~・・・」  涼子は自分の事より元の世界に残してくることになった家族のことを心配している。 「そうねえ、私は母親が再婚したから、あんまり心配してないけど、流石に飛行機事故となるとねえ・・・泣かれちゃうかも」 「再婚?」 「長い事、母子家庭だったの。母もやっとお見合いで昨年いいお相手に巡り会えたのよね。ほんの先々月に結婚したのよね」 「あ~・・・それは驚かれますね」 「でも、お互いいい大人だから。涼子ちゃんはまだ高校生だから・・・きっとご両親も悲しむわ」 「確かに・・・」  切なそうな表情をする涼子。 「兄が2人と、私の下に妹がいるんですよね」 「大家族ね」 「ええ。兄達は2人共成人してからはフランスに住んでて、妹は両親と一緒に日本に住んでます。来年の受験に向けて塾通いしたいからって今回祖父母の家には行かないって言い出して。でも良かった。あの子まで飛行機事故に巻き込まれなくて・・・」  本気でホッとした顔をする涼子を見て、兄妹想いなんだな、と少しだけ笑顔になる望。 「私は一人っ子だったからそういうのちょっと羨ましいわね」 「母一人子一人だと、お母さんが悲しむんじゃ?」 「うん。まぁ・・・でも結婚して旦那さんが出来たから安心かな?」  2人は神妙な顔で互いの顔を見ながら頷いた。 「帰れなくてもいいから家族に生きてるって知らせることが出来るかどうか、聞いてみるのもありかも」 「そうですね。なんか分かんないけど災厄ってヤツをやっつけたご褒美くらいはくれるかもしれないですね!」  2人はガッチリと手を握り合う。 「「頑張りましょう!」」
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