悲しみ

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悲しみ

僕は駅の裏の山へ行った。 団栗(どんぐり)を一つ(ひろ)った。 何だか悲しくて涙が(こぼ)れた。 カナチョロがチョロゝゝゝと走った。 森の上も、森の下も暗かった。 暮れかけた青い空に、影絵の様な、 家も、木も、山も、岩も黒かった。 ''げんのしょうこ''の匂いがした。 足の下に水が流れていた。(水田へ行く水だ。) 星の上を藁屑(わらくず)が流れた。 腰を下ろして水を凝視(みつめ)て考えた。 喉に固い(かたまり)があった。 (矢張りそうかもしれない。 いやそうじゃない。) 水が何時までもチョロゝゝゝと流れていた。 僕は水に沿って歩き出した。 この先に僕の家があるのだ。
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