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『涼』と声をかけてから、GPSを頼りに、煌弥が居る場所へと向かった。 繁華街の中に人垣が出来ているのを見つけ、その中へと足を進める。 人垣が途絶えた2メートル先に、しゃがみ込む煌弥の姿があった。 地面には、赤い血痕。 スマホを耳に当て、救急車を要請しながら煌弥の傍に行く。 「てめぇ等、見せモンじゃねぇだ!」 地を這う様な煌弥の怒鳴り声に、人垣が散らばる。 煌弥の腕の中には、煌弥と同じ漆黒の髪の少女の姿があるのが分かった。 「ネクタイ」 俺に気づいた煌弥の言葉を聞いて、ネクタイを外し煌弥に渡す。 煌弥は自分のネクタイと俺のネクタイを使い、少女の背中を止血している。 救急隊員が着いた時、少女と一緒に救急車に乗り込んだ煌弥。 「何があったんだ?」 涼の言葉には答えず『行くぞ』と声をかけ、近くに停めてある組の車で救急車を追った。
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