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ロープの端を、ベランダの手すりに、きつく括りつける。 その後、中に入り、クロゼットの方へと移動する。 クロゼットの扉を開け、今着ている物を全て脱いで、裸の上にスラックスを履き、ロンTを着た。 下着を身につけないのは、いつもの事。 そんな風に思っても、何かを思い出した訳ではない。 靴は履かず、靴下を3足重ねて履く。 準備は整った。 後は此処から、出て行くのみ。 部屋にあるスリッパを履いて、バスルームに向かう。 浴室に入り、浴槽にお湯が貯まる様に栓をしてから、蛇口を捻り、お湯を出す。 誰かが部屋に入って来ても、バスルームからお湯が出ている音を聞いたら、お風呂に入っていると思うはず。 それに、お湯を出しっぱなしにしておく事で温度が保たれ、私が、いつ此処から出て行ったのか分からないはずだ。
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