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浴室から出て、浴室用の換気扇のスイッチを押す。 その後、バスルームからも出て、脱いだ物を拾うと、クロゼットの中に入れる。 クロゼットの扉を閉め、ベランダに向かい外に出てサッシを閉めた。 ベランダから下を見ると誰も居ない。 それに、バイクも車もない。 「考えが甘い」 小さく呟いた私は、シーツで作ったロープを、ベランダから放り投げた。 ベランダの手すりに、落ちない様に登り、ロープを使って下へ、下へと、下りて行く。 地上まで、2メートルの所で、ロープの長さが終わった。 だから、そのまま飛び降りる。 身体は、地面に倒れる事なく、上手く着地が出来た。 やはり、記憶がなくても、身体は覚えている。 そう思った私は、その場から塀に向かって駆け出した。
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