先生と生徒は

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先生と生徒は

教師が生徒に、一般的道徳論や公序良俗を教える範囲を超えて、政治や宗教の領域にまで踏み込んだことを言うならばその時は、残念だが生徒がその先生に全幅の信頼を寄せている状態が必ずしも好ましいことにはならない。 そして、社会の全ての部分に共通する理念を求めればそれはすべからく政治であり、全ての人間の人生に共通する意義と哲学を語るならばそれはすべからく宗教である。 その領域までをも含めた生徒の全人格に対し一人の教師が全責任を負うなどと言うことは原理的に不可能なことであり、そのようなことをそもそも教育は宣言してはならない。それを求めることは生徒が自らの知識と思考でできるようにすること、それが教育が生徒に付与すべき知識、そして信頼である。
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