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まるで氷でできた指を押し当てられたかのように、冷気が頬を突き刺す。
はらり、はらり。
鈍色の空を見上げる。白い羽毛のようなものが、はるか高いところから音もなく静かに静かに降りてくる。雪だ。
はらり、はらり。はらり、はらり。
力なく差し出した手のひらに、羽毛のように、はらはらと散る桜の花びらのように、はらりと舞い降りる薄い薄い儚げな雪片。触れようとしたけれど、震える指先が届く前に、すうっと溶けて…消えてしまう。
はらはら、はらはら。はらはら、はらはら。
白い舞いはどんどん増え、視界を白く白く霞ませていく。寒い。寒くてたまらない。そして…。
「…」
ちぎれそうに痛む耳に何か聞こえた。遠くの方から、かすかな声が聞こえたような気がした。
「…ちゃん」
はらはらひらひら、視界を奪い惑わせる白い帷の彼方から、聞き覚えのある声が切れ切れに聞こえてくる。
「…ちゃん。お姉ちゃん」
「莉音?…」
「…ちゃん。た…て」
目を凝らしても何も見えなかった。あとからあとから落ちてくる凶々しい雪が邪魔をして見通しがきかない。
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