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「助けて。お姉ちゃん、助け…」
「どこなの。どこにいるの」
幼い女の子の声に呼びかけながら、でもそれが自分にしか聞こえない幻聴であるとわかっていた。それは現実には聞こえるはずのない、もういない、あの日、今から二十年も前の、あの大雪の日にいなくなった妹の声だったから。
はらはら、はらはら。はらはら、はらはら。はらはら。
凍えて立ち尽くす私の頭に、肩に、白い魔物があとからあとから舞い降りてくる。私の世界を白く塗り潰していく。
♢
クリスマスまであと三日。今年も残すところあと僅かとなった。早いものだ。
十二月に入ってから季節が戻ったかのように変に暖かい日が続いたり、本来の寒さが戻ってきたりを繰り返していたが、昨晩のこと、空気が急に冷たくなったと思ったら雪が降った。薄っすら積もる程度だったが、東京で十二月に雪が降るのは珍しいと、翌朝のテレビニュースで見慣れた顔のアナウンサーが、さも大事件が起きたかのように繰り返していた。
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