はらりはらり

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 わたしが生まれ育った北陸地方のとある地域では、冬に雪が降るのは当たり前で、早い年では十一月から雪が降る。降り出したら薄っすら積もる程度では済まない。だから関東の人たちが大した降雪量でもないのに大騒ぎするのが可笑しかった。  雪。雪。忌まわしい雪。わたしは雪が嫌いだ。子供の頃はそんな感情は持っていなかったのに、あの日から…あの出来事から雪が嫌いになった。雪の降り積もった白い景色が恐ろしくなった。  そう…。あの、雪が降り積もった真冬の、凍えるような日に、まだ幼い妹が、白い魔物に連れ去られた時から。
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