夢のぞき眼鏡

　これがコロの夢…？
　コロはこんな夢を見ていたの…
　私をペットにして遊ぶことが、そんなに面白いの？
　体を震わせて笑うほどおかしかったの？
　私…なんだか心が冷えていくようだった。

　と、次の瞬間から辺りは荒野に変わって、野犬の大群が向かってくるところだった。
　うわ！恐そうな強そうな野犬たちが牙を剥いて私を襲ってくる！
恐いよぅ！

　その時！
　ガルルルルッ！
　なんと！コロが野犬たちに飛びかかっていった！
　危ない！コロ！行っちゃダメ！待て！待て！
　コロったら、私の「待て」の指示も聞かず
　ビョーン！ビョョョーン！
　見事な飛び蹴りで敵をやっつけている！

　短足だし、おデブさんだからジャンプは上手くできないはずなのに…
　夢の中のコロは軽やかなジャンプで、向かってくる野犬を次々と蹴倒していた。

　大乱闘が続くコロの夢、
　恐いよぅ！ガクガクブルブル！

　私、テレビのドラマでも、戦争とか、喧嘩のシーンは恐くて見ていられないのよ。
　もうダメ！見ていられない！

　震える指で眼鏡をむしり取った。

　そして私は目覚めた。
　一瞬だったのか一昼夜も過ぎたのか…よくわからないけれど
　私の部屋の私のベッドの上にいた。
　私の脇にはコロがいた。
　まだ眠っていた。

　あの夢の続きを見ているのだろうか？
　嬉しそうに笑っているように見える。

　もしかして･･･と私は思った。
　コロは夢の中で、私を助けるヒーローになりたかったのかしら？
　そんなことを思って、私は一人でクスクス笑ってしまった。