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部屋の中央にあるソファに、アイザックが腰を下ろし、夏美もその向かい側に座るように促される。初老の男性は、アイザックの背後に周り、そこで立つ。
「一人か?」
「まぁ……はい」
「……なら聞く。お前はどうしたい?」
「へ?」
「昨日は悪かった。こうなるのがわかっていて、放っておいたようなもんだ」
「え? え……? あの、ちょっと、状況がよくわかんないんだけど……」
夏美が戸惑いを口にすると、アイザックが息をついた。
「昨日の時点でお前が異国から来たことは明らかだった。しかもこの国のことをよく知らなさそうだ。なのにそのままお前を置いて帰った。お前のような者が、単身であるとは思わなかったんだ。誰かこの国の知り合いでもいるのかと思った。だが、お前は警備兵から不審人物として投獄された。しかも一人で」
「は、はぁ……」
「昨日のうちに、連れがいるか聞いておけばよかった」
「それは……その、別にあなたが悪いわけじゃ……」
「……とにかく、これからどうする。行くあてはあるのか?」
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