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「はい?」
「さっきのアイザックのどうしたい、って言葉なんですけど……私に選択権ってあるんですか?」
「……」
再び二人が見つめ合った。
「まぁ……自国へ帰られるのが一番よいとは思いますが……」
「現状、それはほとんど不可能だ。宮殿の外は治安が悪化している。お前が捕らえられる前にガラの悪い男たちに絡まれていたと聞いている。無防備な女一人で出歩ける国ではなくなった」
そう言うアイザックの表情は、どこか暗い表情をしていた。
「だから現実的に、お前を開放することはできない。まぁ、お前が死にたければ別だが」
「死にたくないです!!!」
「そうだろうな。俺たちとしても、他国の者を死なせたくはない。外交問題に関わるからな」
「そうですな、どのようなことが戦争の火種になるかわかりませんからな」
(たぶん、ここ異世界だからそんなことはないと思うんだけど……)
それでも、自分の身の安全を保護してもらえるなら、これ以上のことはない。
「では、どういたしましょうか。一旦処遇はこちらに預けてくれとは言ったものの、周囲にナツミ様について何も言わないままそばにいてもらっては、不評を買いかねません」
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