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含みをもたせた言い方に、アイザックと夏美の頭上にはてなマークが浮かぶようだった。 「まあいい。周囲にも俺の客人だと伝えておけ。干渉してくるやつには俺から釘を刺す」
「かしこまりました。ではそれで。ナツミ様、あなたは海外からの来賓です。丁寧にもてなしましょう」
「あ、ありがとうございます……」
(なんか……最初の扱いからは雲泥の差というか、すごく良くしてくれてるような……? 意外と優しいのかも、この人たち)
「それとソンジ」
「はい?」
アイザックの一段と真剣な声音に、ソンジが不思議そうな顔をする。
「そのお願いしたいことというのの間に、この女にこの国での礼儀作法を教えておけ。やっていいこと、悪いことを」
「かしこまりました」
(この人、私が不法入国したってのとまだ引きずって……!?)
「俺は稽古に行ってくる。帰ってくるまでに、どこに出しても捕まらない人間にしておけ」
「承知いたしました」
(やっぱ、優しくないかも……)
にっこりと笑って、ソンジが言うので、夏美は愛想笑いを浮かべた。
それから小一時間ほど、ソンジからこの国のことを教えられた。
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