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メイドが手に持っていたドレスを広げると、プリンセスラインに裾の広がった可愛らしいデザインで淡いパープルのオーバースカート、袖はでロングスリーブ、胸元はきゅっとしまったハイネックのものだった。
(可愛い……)
夏美も一人前に可愛いものが好きだ。
コルセットを締められ苦しいながらも、鏡に映った自分のドレス姿に見とれてしまう。
(この世界にいる間、こんなに可愛い服着られるんだ……)
それだけでもう嬉しい。
(治安が悪いとか、正直悪いところもあるけど、ここの中で生活していく分にはあんまり関係ないもんね……)
すでに夏美はここでの生活に満足しかけていた。
「できました」
「とってもお綺麗です」
「あ、ありがとうございます」
メイドたちに褒められながら、衝立を出る。ソンジと目が合うと、ソンジもすぐに形相を崩して微笑んでくれた。
「大変お美しいですよ、ナツミ様」
「ありがとうございます」
「ただ……やや袖や裾が長いでしょうか。前に着ていたお方が長身だったので……」
ソンジは失礼、と言いながら夏美の袖に触れる。
「明日には専属の仕立てを呼んで、ナツミ様のお召し物を仕立てさせましょう」
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