異世界に、アレ持ってきちゃいました。

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「えっ、いいんですか!?」 「ええ、来賓ですので」 「わ……ありがとうございます」 「では、さっそくお勉強に入りましょうか」 「はい!」  二人はテーブルにつく。  夏美が来た国を知りたいとソンジが世界地図を広げて、いつも見ているメルカトル図法のあの地図が見られることはなかった。知らない大陸、知らない国名、知らない海洋の名前。  そのことをソンジに打ち明けると、意外にも「ではこれからこの国のことをお勉強していきましょう」と朗らかである。 「……あの」 「なんでしょう?」 「その、アイザックって人はどういう人なんですか? さっき立場が立場だから、法律が適用されないとかなんとか……」 「アイザック様のことは何もお知りでないのですか?」 「まぁ……その……」 (昨日、身体は見たけども……!) 「何も知らないようなものなので、教えてください」 「そうですな、どこから話しましょうか……」  それからソンジに教えられたのは、あの男がこの国の第二王子であること、しかし第一王子は病に倒れていて、もしかしたら玉座が転がり込むかもしれないこと、そして玉座を渡したくない周辺から命を狙われていること……。
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