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夢魔
夢魔
私に偽りの世界へと連れていく闇の者
幸せな時間を与え
そして奪い壊す
何度も何度も
繰り返され
今じゃ
夢なのか現実なのか分からない
愛する人
愛した人
それも全てが夢
目が覚めて気付いた時
夢魔は私が苦しみ泣き喚いている姿を
嬉しそうな顔で嘲笑っていた
その時
私は夢魔の存在に気付いた
夢魔は私が辛い気持ちになる為に
幸せな時間をわざと用意する
知らない私は
知らない人に心も体も許し
そして
快楽と安心を得て
「今度こそ本当に幸せになれる」
そう思ってしまう
その瞬間
夢魔はその世界から私を闇へと引き戻す
楽しそうに
嬉しそうに
声を高らかに上げ
私を上から覗き込み
嫌な笑顔を浮かべている
夢魔
壊れてしまった私に夢魔は幸せな時間を与える事を辞めたのだろうか
何も感じない
今、この瞬間は
夢なのか
現実なのか
それとももっと違う世界に居るんだろうか
でも…
そんな事はもうどうでもいい
壊れたおかげで
幸せを夢見る事が無くなった
幸せを感じる事も無くなった
だから
苦しみも哀しみも感じる事はない
醜く泣き喚く事も無い
夢魔
いつも嘲笑っていた闇の者
今はただ私の傍にいる
たった一人の存在
そして夢魔の楽しみを奪ってやった私
それでも
お互いに傍にいるだけでいい
唯一無二の関係
誰も入れない
お互いに闇の中に生きている
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