面影にふる雪

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面影にふる雪

いとしかった人の面影にも 雪が降り積もればいいのに 純白のけがれない雪が しずかにしんしんと 幾夜もかけて いくえにもいくえにも 降りしきる雪の中で それを思いつづけている わたしさえ 気付かぬうちに まるでこわれた映写機のように それをただいたずらに いつまでも映し出す わたしの心の大地へと 思い出もいとしさも 記憶も感触もぬくもりも ふるえもこどうもといきも 交し合った さようならのことばも I love youの言葉さえも しんしんと降りしきる 雪の日々の中で 純白の雪につつまれ そしていつかしずかに とけてゆけばいいのに 雪といっしょに 雪といっしょに 何もなかったかのように とけてゆけばいい わたしさえ気付かぬうちに いとしかった人の面影にも 雪が降り積もればいいのに *この詩は、昔『詩とメルヘン』という投稿雑誌(既に廃刊)に、青木五月のペンネームで初めて掲載された詩です。
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