里中くん、ピーンチ!!!(上)

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里中くんは、人が怖い。 自分も人だけど、人が、怖かった。 対人恐怖症だ。 子どもの頃から、人と話すのが、苦手だった。 それは、高校生になっても変わらなかった。 だから、いつも、一人で教室の隅っこで目立たないようにしていた。 だって、人に話し掛けられたら、なんて答えたらいいか分からなかったし、もし、話しても、つまんない人間だと思われるのが、怖かった。 実際、里中くんは、自分のことを、すごくつまらない人間だと思って生きてきた。 これといって、特技もないし、冗談の一つも言えない。 もしも、冗談を言ったとして、シラケたらどうしていいか分からない。 シラケさせるくらいなら、黙って、教室の隅で、気配を消していた方が、何十倍もましだ、と里中くんは、思っていた。 しかし、そんな里中くんだったが、奇跡的に、緊張せずに話せる人間がいた。 それは、幼馴染みの広田さんだった。 幼馴染みと言っても、ただ家が近くて、同い年なだけだったが、子どもの頃から、明るくおおらかな広田さんだけが、里中くんに、気さくに話し掛けてくれた。 里中くんにとって、広田さんは、女神さまに等しかった。 広田さんは、ちょっと太っていて、決して美人ではなかったが、里中くんにとって、そんなことはどうでも良かった。 広田さんだけが、里中くんの味方だったのだ。 しかし、そんなある日。 重大事件が起こった。 なんと、同じクラスで、生徒会長の速水くんが、広田さんに告ったのだ。 速水くんは、里中くんとは正反対の誰とでもすぐに仲良くなる人気者で、イケメンで、頭も良かった。 里中くんは、焦った。 途轍もなく、世界が真っ暗になった気がした。 ど、どうしよう?! 里中くんは、人生一大事のピーンチだった。 どうする?! 里中くん! (下)へ、つづく、、、
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