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「……何を、言って……」
思い掛けない――今度は本当に思い掛けない城戸さんの問いに、呆然と呟きを洩らす僕。
……いや、よくよく考えれば何もおかしな発言じゃない。仮にも、僕らは恋人なのだから。だけど――
「だって……すっごく悲しそうだったから、あの時の先生。それに、今だって……だから、私が慰めてあげたいなって。それに……先生が望むなら、その先も……」
そう、ぐっと距離を詰め告げる城戸さん。そんな彼女の右手が、僕の左手にそっと重なる。そして、その綺麗な唇がそっと僕の唇へ――
「……ごめん、城戸さん」
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