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――そういう約束だったよね、先生?
「――それじゃ、これから宜しくね? 白波先生」
黄昏色の空の下、閑散とした住宅街の一本道にて。
そう、莞爾とした笑顔で告げるのは鮮やかな山吹色の髪を纏う美少女。……普通に考えれば、申し訳なくもここは拒否一択しかないだろう。それは、僕ら二人の年齢や立場を鑑みても当然だろうけど……だけど、それ以上に僕はまだあの人のことを――
「……あれ、なんで黙ってるの? まさか、生徒を導く立場の先生が率先して約束を破るなんて……そんな、示しのつかないことしないよね?」
暫し返答出来ずにいると、笑顔を崩すことなく続ける少女。そして――
「――貴方の恋……ううん、今となっては元恋人の松川先生が、もし本当に浮気をしてたら私と付き合ってくれる――そういう約束だったよね、先生?」
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