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雪の積もった歩道では、やっと一人歩けるぐらいの事が多い。
すれ違うとなると、どちらかが譲らなければならない。
若者が年寄りに譲るのが暗黙の了解だったと彼は思い出す。
譲るために横に移動すると、当然の事だが除雪してない所に足を踏み入れることになる。
だが、そうすることが彼には当然であった。
上京してみると、電車の空席は値千金である。
いつしか彼も空席に座るのを競うようになった。
東京で雪が積もると大騒ぎになる。
転倒に気を付けながら、道を譲っていた若き日を彼は懐かしむのであった。
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