深夜

1/1
前へ
/5ページ
次へ

深夜

 その夜、栞は深夜にトイレに起きた。  トイレは健二の向こう側だった。  健二が、「女の子をトイレの前になんか寝かせられない。」と言って、そちら側に寝たのだ。  明かりを点けようとした栞は手を止めた。健二を起こしてはいけないと思ったのだ。  新月の晩だった。  栞は当てずっぽうにトイレを目指した。 「んっ?」  なにか踏んだ感触があった。  目を凝らしたが、なにぶん新月の晩なので、よくわからない。  栞はそのまま反対側の足を踏み出して手を伸ばし、トイレを探り当てた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加