193人が本棚に入れています
本棚に追加
初夜の次の夜
「一緒に……『お勉強』するんでしょう?」
見上げた藤孝様の顔は赤く、私も同じように顔が熱くなる。
涙はすっかり乾いてしまった。
大きな手で、優しく髪を拭いてもらい、私は手早く、髪をおさげに編んだ。
「へぇぇ、鏡も見ないで、自分の髪を編めるものなんだ。
本当に櫻子さんは、器用だな」
いそいそと、敷いてあるお布団の上に座って、藤孝様は私の手元を不思議そうに見つめている。
「女子ならば、このくらい、何ということも、ございませんわよ」
藤孝様から、紙を綴じるのに使う、つづり紐を借りておさげを留めると、私も藤孝様と同じお布団に入った。
いよいよ、なんだわ。
昨日よりも緊張しちゃう。
昨日は結婚式の後でもあり、豪華な洋式のホテルで、日常とはかけ離れていて興奮していたのもある。
しかも、私の奇怪なめしべを、また見られるのかと思うと、身体が固くなった。
「櫻子さん……好きだ」
藤孝様は私の名前を呼ぶと、甘い口づけをして、手を震わせながら浴衣の帯にしている伊達締めを解く。
わっ、もう?
もう脱がせるの?
荒い息遣いになっていく藤孝様のことが、ちょっと怖くなりながらも、私は激しくなっていく口づけに応じるのに必死だった。
「……っん、……はぁっ」
「あぁ……櫻子さんっ、可愛いよ……僕のっ……お嫁さん……」
最初のコメントを投稿しよう!