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帝大に通われているだけでも、すごいことなのに、まじめな藤孝様は勉学の手を抜かない。
一井家の次期当主たる者、なんでも一番でないと、ダメなのですって。
頭が痛くなってしまいそうなほど、小さな文字で書かれた分厚い本や、英語やドイツ語などで書かれた文章なんかも、スラスラと読まれているのは、本当にすごいなぁと感心する。
いつもガリガリと音がしそうなくらい、自室の大きな勉強机に向かわれいて、その背中は広くてスラリとしていて、素敵なんだけど……ちょっと淋しい。
新婚なのに……。
いつまでたっても、藤孝様の姿が見えない窓辺から、部屋の中に視線を移すと、壁際に置いた和タンスの上に飾っている、結婚式の写真が目に入った。
幸せそうな私の笑顔を見ると、切ない気持ちでいっぱいになる。
そもそも、藤孝様が私との『お勉強』を、してくれなくなったのは、私に原因があった。
できることなら、結婚式が終わった翌日の、あの時まで戻りたい。
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