別々の部屋

2/4
前へ
/129ページ
次へ
 見られたくないのが、私の『股の間』だと言うのも、なんだか恥ずかしくて言えない。 「櫻子さんの、どこが変なんだい?」  寝巻の浴衣姿で近づいてきた藤孝様は、制服の詰襟(つめえり)(※学生服)や、背広をきっちりと着こなしている時より、色気がある。  ちらりと見える胸元が、大人っぽく見えてドキッとした。  あの奇怪なめしべが、なんていう名前なのか知らないわ。  えぇいっ、あのヘンな形のところを、見られなきゃいいんだもの。   「あの……ココです」  見せたくないと言いつつも、私は浴衣の(すそ)をめくり上げ、薄い腰巻(※女性の肌着)を藤孝様に、ご披露する。  浴衣の裾が上がっていくに従って、藤孝様の目が大きく見開いた。   「さっ、櫻子さんっ。   ゆかっ、浴衣っ、浴衣の(すそ)を下げなさいっ」  藤孝様は真っ赤になって私に抱きついて、浴衣の裾を下げるよう叫んだ。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

184人が本棚に入れています
本棚に追加