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広田さんは、自分にフラれて、しょんぼりと教室を出て行く里中くんの後ろ姿を、ずっと見ていた。
広田さんは、思っていた。
里中くん、、。
里中くんが、あたし以外に友達がいないのは、あたしのせいじゃないかしら、、。
里中くんは、自分のことを、何の取り柄もない、つまらない人間だと思っているけど、それは違うの。
里中くんは、自分の魅力に気付いてないだけ。
あたしに、キラキラした瞳で、大好きな星空のことを教えてくれたり、優しく花や草や動物に接したりする、とても素敵な人なのよ。
でも、あたしがいることで、それが他の人に伝わらない、、。
そう、思うの。
だから、里中くん、あなたのことが、本当は好きなの、、。
広田さんは、思っていた。
でも、思っているだけでは、里中くんに伝わらない、と。
そして、決心した。
広田さんは、放課後、里中くんの家に行った。
里中くんは、自分の部屋で布団にくるまって、しくしく泣いていた。
しかし、広田さんが、来たと聞いて、飛び起きた。
広田さんは、玄関に降りて来た里中くんに、思っていることを、素直に伝えた。
里中くんは、驚き、そして、考えこんでいたが、広田さんをまっすぐに見て言った。
「広田さん、、ありがとう。僕、頑張るよ。これから、いろいろと。それで、変わることが出来たら、また広田さんに告白する、いいかな?」
広田さんは、泣きながら、頷いた。
「もちろんよ。ありがとう」
こうして、対人恐怖症の里中くんの恋は、一応の結末をみた。
これから、二人が、どうなってゆくのかは、神さまだけが知っている。
おわり
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