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変化に気づく日
誠一は結婚当初からどんなに遅くなっても
夕食は必ず家で食べる人だった
「今から帰る」
帰るコールは今から見れば昔のこと
それが長男の高校進学と同時に
週4回、3回と減っていき
今では殆ど家で食べる事はない
週末も出張が増え、家族で出掛けることは
おろか会話さえなくなってきている
おかしいでしょ...
誰でも気付く事よね...
「母さん...言うの迷ってたんだけど父さん
朝、会社と反対方向の電車に乗ってるよ
朝練の時、毎日見かけてたんだ...」
「...そっか...心配かけてごめんね」
「僕達、母さんの味方だから...
もう父さんに縛られて生きる必要はないよ
母さんにはいつも笑ってて欲しいから...」
長男誠の言葉が
私の背中を押してくれたのだと思う
翌日意を決してヘソクリを
全部使うつもりで興信所に出向いた私は
誠一の徹底的な素行調査を依頼した
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