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離婚から3年
〝コンコン‘’ドアをノックする音が聞こえる
「お取り込み中、申し訳ありません」
料理助手の矢澤理恵が
慌てた様子で応接室に入って来た
「優子先生
そろそろ生徒さんがお見えです」
主婦層に人気の料理研究家・林優子は
料理教室の最終確認を済ませた後
恩人の一人である出版社の担当者小野大輔と
雑誌の打ち合わせをしていた
「先生のレシピとエッセイは分かり易くて
美味しいと、我が社の女性社員も
毎回楽しみにしているんですよ〜
今日はこちらを頂いて帰ります
次回も...よろしくお願いします」
小野はそう言うとペコリと頭を下げた
「ご苦労様です
今度お昼でも召し上がって下さいね」
「はい是非!じゃあこれで...失礼します」
優子は小野を見送った後
視線の先にそびえ立つ高層ビル群を
眼下に眺めながら
辛かった日々はもうおしまい!
私は決して
ダメ人間なんかじゃなかった...
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