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何を隠そう、私は生娘だ。
エッチどころかキスのひとつも、ましてや弟以外の男性と手を繋いだ事さえない。
床の上で何をするのか何となくしか知らないけど、動物のならいくらでも見た事ある。みんなしているんだから、私にだって相手くらいは出来るはず。
「はあぁ、その訳の分からん理由と自信はなんなんだ……。しかも軽く失礼な事言っておるし。断る。絶対やらない」
「……やっぱり、そうですよね。私じゃ全然そそられないですもんね。あーあ、こんな事ならもっと紅花さんみたいな艶やかで、色気溢れる女に産まれておけば良かった」
こんなガキっぽい女、相手にしたいわけないか。
ただの練習台にもならないなんて、余程精気を創り出せるようにならないと私と結婚してくれる仙人は現れないかもしれない。
しょんぼりと肩を落とす私に颯懍は、言い聞かせるように話し始めた。
「そう言う事を言ってるのでは無い。好きでもない奴となんかして自分を安売りするな。初めてなら尚更だ」
「好きですよ、師匠の事」
「その好きとは違うやつだ。そう言う相手と出会ったら、その内分かる」
「それなら師匠、これならどうですか? 私がその殿方と出会えた時用に、私の練習相手になってください」
「そう来るか」
「だって師匠が昔に御相手した仙女の方って初めての人ですよね? 好きな人とそう言うことになった時慌てないように、練習って必要だと思いません?」
血が出たと言っていたのなら処女だったってことだ。そのくらいの知識は私にだってある。
きっとその女性は初めてのことで気が動転してしまって、颯懍を罵ったんじゃないだろうか。
しばらくの沈黙。
目を瞑って考えていた颯懍が、遂に口を開いた。
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