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身体が熱い。
考える事を止めてしまった頭はぼーっとする。
離れて行く互いの唇の間には、銀色の糸が一筋。プツンと途切れたのを見た瞬間に我に返った。
「……なっ、いっ、今のは……えっと……」
「嫌だったか? 手を上げないから続けたが」
不安げな顔で見てくるけど、そうじゃない。
「嫌とかそう言うのではなくて、その……一応お聞きしますが、女性とこう言った事をするのって何百年も前の事ですよね」
「そうだが?」
「嘘っ! 絶対嘘ですよね?!」
嘘じゃなきゃ何なんだ。
あんなキスなんて知らない。
相当なテクニシャンじゃないか!!
「……嘘じゃない。ただちょっと、例の事があってから勉強したんだ。その手の本を見ながら脳内で」
――――!!
下手って言われてちゃんと勉強するとか、妙に真面目というか律儀というか。
そういう事ならきっとその先だって、大いに勉強してらっしゃることだろう。
さっき以上の激しい動機に襲われて、颯懍の方をまともに見れなくなった。体温が3度くらい上がったんじゃないかと思うほどに顔が熱い。
これ以上うまく喋れそうも無いので、ガバッと立ち上がった。
「わっ、私、薬草採取に行ってきます!! それでは」
「あ、あぁ」
走り出さずにはいられない。
薬草を入れる為の籠を引っ掴んで、外へ飛び出して行った。
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