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階段を上るのに手間取るが、軍人として鍛えたアンブローズに4階まで上がることは全く苦ではなかった。
お陰で、お目当ての人はすっかり出不精になったらしいが。
アンブローズが革靴をわざと鳴らすように歩いて、目当ての部屋に到着する。
一旦部屋の中の様子を伺ってから、アンブローズは隠密のように部屋に身体を滑り込ませると、暖炉に近づき薪をくべた。もう炎が小さくなっていたからだ。
冬は日暮れとともに急激に寒くなる。寒くなるまえに部屋を暖めるのだ。
重ねた蒔が燃え残りを崩して、音を立てた。
「だれ?」
という声とともに、シーツの擦れる音がした。
「私だよ」
アンブローズは、暖炉の前から立ち上がりベッドに近づいた。
ベッドの中には、しどけない下着姿をした女性がクッションを抱きしめて転がっていた。
「アイビー。風邪をひくぞ」
と言って、アンブローズが毛布を引っ張ってベッドの女性にかけてやる。
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