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そのままベッドに腰掛けて、片手でアイビーと呼んだ女性の髪を撫でた。
シルクのような手触りの艶やかな茶色の髪は、しっとりとアンブローズの指に絡んだ。
アンブローズは、自分が外套を着たままなのに気が付いて、そっと腰を上げると、クローゼットに進んで自分で外套とその下に身に付けていた軍服の上着をハンガーに掛けた。
戦争となれば、野営で身の回りのことを自分でするのが当たり前の彼は、人に衣服の着脱を手伝ってもらわなくても、さほど気にしない。
娼館では、室内の男性の世話を娼婦がするのだが、当初アンブローズがそれを断ったので、この部屋の女性は、他の娼婦のように甲斐甲斐しく立ち回らない。
客であるアンブローズが来たといっても、まったく慌てず自分のペースで過ごしていた。
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