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気だるさを隠さないアイビーに、アンブローズも無意識にまとった精神の鎧を脱ぎ捨てる。
生まれ、育ち、立場。
そういった環境が作った「アンブローズ・ターレス」という人間は、この部屋に来ることで、一人の男になれるのだ。
シャツだけになったアンブローズは、ベッドで横たわる女性に添い寝をするように身体を横たえると、頬杖をついて女性を見つめ、空いた手で女性の頬に手を滑らせた。
しばらく撫でていると、女性は長いまつげに縁どられた瞳を開いた。
「…おはようございます。副将軍」
柔らかく笑って、女性が言った。
「職位はここでは言わないでくれ。アイビー」
アンブローズはそう言うと、顔を女性に近づけて口づけをした。
長く、しっとりとした静けさが寝室を満たす。
二人がゆっくりと顔を離すと、お互いの瞳に、確かに獣の姿を見つけた。
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